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[音楽ブログ]レーベルとの契約と音源パッケージ収益について

2019.09.30

リリースする前に必ず知っておくべき条件

その契約本当に大丈夫?

近年よく言われるのが、「メジャ・レーベルー契約なんて今時意味がない」です。音楽を発信販売するプラットフォームが多くなり、アーティストが独自でリリースして売り上げ収益をほぼ100%受けれる体制が整ってきた為、音楽業界にいない人でも最近はメジャーレーベルに対する「ブランドイメージ」というのが落ちてきている印象です。
では、本当にメジャー契約やインディーズレーベルは意味がないのか?これを俺なりに解説したいと思います。

・メジャーとインディーズの違い
・リリースをする際に知っておくべき裏話
・メリット・デメリット

こんな感じで書いていきます。


メジャー・インディーズ何が違う?自主 vs レーベル

一番わかりやすいメジャーとインディーズの違いは日本音楽協会に所属しているか否かです。UNIVERSAL, VAP, SONY, WARNER Bro.,など誰でも聞いた事ある大企業はメジャーレーベルです。反対にインディーズは無数に存在しますが、個人事業、大手会社と形は色々あります。よって明日からインディレーベルを開始する事は誰にだってできます、個人事業ならレーベル名だけ考えて会社登記すら必要ない。
上記でよく言われる、メジャーと契約しても意味がない、これメジャーレーベルに限らない話です。気をつけて。
メジャーレーベルが毛嫌いされるのは、CDや配信された音源の収益を多く取られるという印象があるからでしょう。
でもこれはメジャーに限らず、インディーレーベルと契約しても同じです
基本的に自分でレコーディングをした音楽は自分が原盤権を所持します。早い話作品を制作するのにお金を出した人が権利を所持します。
メジャーとインディーで違うのは売り上げ収益に対する%が違うです。実はこの%の数字、アーティストによって違ったりします。要は契約時にどういった数字で締結するかですが、大体メジャーは原盤・アーティスト印税を合わせて10%~16%程度です。インディーで20%くらいですかね。3000円のCD1枚売っても30~60円くらいの儲け…うーん。
さらに、メジャーだろうとインディーズであろうとCD・配信を流通した時点で流通費がかかります。これが一番でかい45%…!!!半分は持ってかれます。45%の内25%くらいは小売店の収益です(CD屋さん等)。
さらにさらに、これCD限らず配信も..です。%は本当に契約によりますが、デジタル配信分で最低20%はレーベル・プラットフォーム側に支払われたとします。(ちなみに音楽ストリーミング会社SpotifyやApple Musicはほとんど売り上げを売り手に渡します)
前記事にデジタル配信の収益について書きましたが、単純計算すると1ストリーム1円で自分に0.8円…うーーん。

さーらーに、著作権印税がありますね。自分が書いてない曲だとしたら内6%は売り上げから抜かれます。まぁここは自分が書いたものとして、原盤と合わせて26%くらいとしますか。お、1/4までいきましたね。

流通に払う45%+26%=71% 
残りはCDの場合製造費が作るものにもよりますが15%~20%。ここは一番低コストで製造したとして 71%+15%で86%、残り14%。
この残りの14%は自分の収益にもなりますが、基本的に宣伝費で消えます。
仮に全く宣伝しないとしたら26%+14&で40%。
これでようやく、半分近くまでの収益…うーーーん!

ってな訳で、インディーズ事務所であろうと、メジャーであろうと自主販売してない場合収益は売り上げの半分以下って結果です。違いがあるようで、違わない。ここはしっかり理解しておきましょう。
契約も同じ。仮にメジャー・インディーズ関係なく専属契約したとします。その場合はそのレーベルの社員となるので給料が支払われる形態になるでしょう。どんなに売り上げが伸びても給料制なのでその期間に交わした金額から変動することは基本ないでしょう。初任給15万も貰えたらラッキーくらいです。もちろんその分で音楽に集中する「時間」が与えられます。


裏話・メジャーとインディーに潜む罠

上記で書いた通り、自主販売しない以上売り上げの収益はほぼ変わりません。
んが、しかし、さらに怖い罠が存在します。
これは宣伝するにあたって大抵のミュージシャンが気づかない穴です。
メジャー・インディーズ関係なくとりあえず、リリース契約を結ぶとします。
いわゆる、ショット契約です。条件としては販売をレーベルに受諾する形になるので、店舗への流通・配信プラットフォームへの登録などをレーベル側に預けることになります。よって、%などは上記と同じです



ここで大きな差が出ます。
それは、宣伝広告費が2〜3倍変わるという恐ろしい罠です。
例えば! 皆んなCD屋へ行けば、新しいリリースを販売促進するためにポップや視聴コーナーなどに置かれてるのをよく見ますよね?あそこに入れてもらえれば、もちろん売り上げは上がります。が、しかし、あれもお金かかってるんです。簡単にいえば場所代ですね。
この場所代、メジャーとインディーズでは価格が違うんです!メジャーの方が高額で、インディーズリリースした場合の2〜3倍金額が違います…
仮に視聴コーナー1台がインディーズリリースで5万円だとします。メジャの場合これが15万!!!エグい。
なぜ価格がここまで違うかはわかりませんが、まぁ単純にリリース・カタログ数も多いメジャーに対しての金額と、リリースもアーティストの数も少ないインディレーベルへ向けての配慮かと思います。
ショット契約の場合、あくまで流通のみの契約なので宣伝広告費がレーベル側から予算として降りるわけではありません。降りる場合もあるでしょうが、これは契約によります。しかし、これ気づかないでメジャーリリースするとこの1台15万とか言う宣伝広告費が自分に降りかかってきます…恐ろしい…
CD売り上げ低迷時代に3000円のCDを50枚店舗販売はかなりハードル高いです。
店舗だけでなく、その他媒体(フリーペーパー、雑誌、広告バナー等)も同じです。フリーランス価格と企業価格と言えばわかりやすいでしょうか?とにかく値段が急激に跳ね上がるので要注意です。 

ポップの派手さや大きさは、実は店員さん次第なんです。作っている店員さんが気に入って気持ちの入ったポップもあれば、どれも同じみたいのもあります。これは金銭ではなく、人の気持ち、ですね。僕の場合札幌のHMVさんに本当よくしてくれる店員さんがいて、柱1本丸々1面使って強烈なポップを作ってくれる人がいます(いつもありがとう!!!)。こう言う人とはリリース関係なくいつまでもお付き合いしたいものですね^^。

この文で没頭に「罠」と書きましたが、別にレーベル側が騙してくるとかではないです。ただ、大半のアーティストが知らないってだけなのと、ちゃんと聞かない、と言うのが問題です。聞けば教えてくれますし、むしろレーベル側からも宣伝をどうしますか?ってちゃんと聞いてくれます。


良いこと・悪いこと

ここまで書いた時点で、契約に対するメリットがほぼ無いって感じる人もいるでしょう。自分でやったほうがマシだと。
個人的には正解だと思います。



1人で戦えるほど、音楽業界甘く無いです。不可能かと聞かれたら、それはNOです、可能です。んが、廃人になるくらい覚悟が必要だと思います。
メジャー・インディー関係なく、まずメリットとしてあるのがやはりリスナーへの広がり方が個人でやるより圧倒的に大きいです。近年インディーズ事務所でも大手は存在するので、そう言った事務所からフェス出演などもできるでしょう。
メジャーとなれば更にテレビやその他有名媒体にも載れるでしょうし、自分の名前を世に轟かせるには最強です。
こういった宣伝・ブッキングをする活動って途方もない労力がかかります。よって1人で出来るか…うーーーーーん、です。
メジャーであろうと、大手インディーズ事務所でも働いているのは「人」です。
その中で一人一人名前のある人が日々働いて、企業利益を出している。中には地方に出張しまくる人、朝まで営業付き合いで飲む人、頭を下げに行く人、複数の人間がそれぞれの役割を果たしているかと思います。
それを1人で。。。まぁ廃人なるでしょうねw
これも大きなメリットです。個人で活動をしてきて、それなりに集客・販売も上がってきた時に大手企業に頼るのはありでしょう。細かな事務作業や周囲との連絡を代行してくれる上に人との繋がりも増えるでしょう。
その分のデメリットが自分の作品の収益が下がるです。
ちなみに、どんなに独自で大きくなっても限界は出てきます。曲も有名で、集客もある、だからと言ってフェスに出れるではないです。もちろん出れる確率はグンっと上がりますが、確実ではないです。

なぜか?
それはフェス側やイベント側も大手レーベルや事務所と付き合いがあるからです。自分がアーティストの実力として、大手レーベル側に所属しているアーティストより上回っていたとしても、大手レーベルは自分のアーティストを売りたいですよね?ここで力が働くわけです。独自でフェス側に出演を交渉しても、これまでたくさんのアーティストを輩出してきたレーベルは自分の所属アーティストを出してもらうようにイベント・フェス側にもちろん掛け合います。
これと戦い・競争するのはまぁ一人で大軍を相手するのと同じくらいキツいです。範馬勇次郎くらい強くないとまぁ勝ち目は薄いですね。
でも不可能じゃないので、頑張ってフェス・イベント運営側と認められるよう努力しないとです。
逆に言えば、大手レーベルと契約するメリットはこういったとこにもあります。

ただこの構造は日本に限るです。海外ではこういった政治的な感じは基本ないです。シンプルです、お客さん集めれる方を選ぶ!以上!お金出す方を選ぶ!以上!色々な意味でもフェアです 笑


まとめ

いかがでしょう?自分の音楽を運営するにあたっての知識となったら幸いです。
よ〜〜く考えて契約はしましょう。悪いことばかりでもないし、良いことばかりでもないです。大事なのはしっかりと情報・知識を持った上で、どう利用するか、だと思います。利用する、って意識は持っていた方が良いです。響き悪いかもですが、利害関係さえ合致すれば、結果的にはお互い利用し合ってるんですから。それがビジネス。
人それぞれ目指すゴールが違うので、本人次第ですが、僕はもう独自で良いって思ってます。自分の音楽を自分のタイミングで、自分の場所で発信するのが僕にっとては一番健康的なので。

成功の道は1つじゃない。無数の方法があります。
知識は得た上で・伸ばした上で自身の「道」を探してみてください。


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